執拗に追いかけられる母と息子「サラ・コナー・クロニクルズ 」
こんにちわ。
さあさわ春風がそよいできました。
新緑がゆれて日光がまぶしいにゃ。
いうまでもないですが、ジェームズ・キャメロン監督「ターミネーター」を連続もの仕立てにした海外ドラマシリーズで、主役はサラ・コナー、息子のジョン・コナー、そして女性アンドロイドのキャメロンです。そのほかにもサラが州立精神病院に収容されてたときの医師ドクター・シルバーマンなど幾人かのコナーファミリーにかかわりある人物や関係する人物が登場します。
コナー母子に縁が発生すれば、そのほとんどの人物は、悲惨な末路をたどることになる。かなり居たたまれなくなるし、コナー母子にしても不幸の連鎖に精神はズタズタ状態におちいっており、いくら人類の救世主になる運命とはいえ過酷すぎる。
プールシーンは圧倒でしたね。
クロマティーがFBI捜査官たちを惨殺してプールに放り込む。なぜだか、唯一、黒人のジェームズ・エリソン捜査官だけは見逃される。ドラマのひとつの山場でした。
エリソン捜査官の役どころは、コナー家族を外部から部外者として観察することにあって、当初は半信半疑だったものが、しだいに審判の日やそのあとのマシンと人類との戦いを確信していくんですね。
彼だってプール事件で心に傷を負い、だれかにすがりたいが、独身のために頼りになる人物はいなくて、元彼女のもとをそっと訪ねたりしてしまう。心の支えになっているのは聖書ですよね。なかみを暗記するぐらい聖書のなかの物語に通じている。たしか親しい牧師だか神父のもとへ出かけたりしてますが、悩みを相談するわけにはいかない。
そんな彼をスカウトしたのが、女性液体金属マシンのキャサリン・ウィーバーです。FBIを退職してゼイラ社に転職。FBIが手に負える事件ではないもんね。
なぞの役割で歌手のシャーリー・マンソンというひとが出てきます。彼女は007ジェームズ・ボンドシリーズのサントラまで歌っており、ガービッジというロックバンドのボーカルをつとめています。女性の液体金属アンドロイド。これまたなぞめいた企業の経営者という設定。下記サントラは彼女の歌う「007 ワールド・イズ・ノット・イナフ」。SF要素ある素敵なビデオです。
The World Is Not Enough - Garbage
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基本的には壊れた家族の再生がテーマなんだと思います。
多民族で構成されたアメリカでは、父母の離婚なんて当たり前に起こるし、子育てを放棄してトンズラしちゃう両親だってかなり多いといいます。捨てられた子供は養子にもらわれり、縁戚に育てられたして、思春期はめちゃくちゃ攻撃的になり暴れまわる例がじつに多いという。でもしかし、日本人であれば、絶対に立ち直れない状況であっても、あちらの人は、ものすごい力で回復していくんだといいます。
個人主義の米国と集団主義の日本。
文化の差なんでしょうがね。
自分の身は自分にどうにかするしかない。他者は当てにならない。信頼できて相互に治癒可能な配偶者や味方をつねにサーチして、主体的にトライアンドエラーでコミットしているのかもしれません。自分の最適な居場所を追い求めるパーソナルフロンティアスピリットが健在なんでしょう。
脱線しちゃいましたが、海外ドラマ「サラ・コナー クロニクルズ」はこれまで5回ほど鑑賞してます。もともと映画「ターミネーター」の世界観や美術にぞっこんということもあるんですが、こちらのドラマは映画版をよりいっそう拡張した構成になっており、アンドロイドまで疑似家族として役割をになわされている。
もう血縁でなくともひとつ屋根のしたでともに飲食してともに行動すれば、立派な家族として機能する証明だとおもいます。そして、誤解や葛藤や確執があらわれた際に修復するプロセスそのものが家族のありようなんですね。
家族だから一緒に暮らしてるのではなく、一緒に暮らすことでそれぞれの役割を暗黙裡に付与され、気がついてみたら、かけがえのない家族になっている。
葬ったはずのクロマティーはゼイラ社の地下で記憶を消去され、ジョン・ヘンリーと名付けられ、頭のうしろにケーブルを取り付けられてゼロから人間愛を再教育させられる。物語のラストのほでキャサリン・ウィーバーの幼い娘と一緒に歌う「キルトをはいた少年」のすこし物悲しいメロディーは、これからの展開を暗示してるのかもしれないが、日本人には歌詞がピンとこないけど、最終盤の物語を引き立てる効果をもつと同時に心にしみる。
名前の由来からするとジョン・ヘンリーというのは、黒人の英雄的存在でアメリカ黒人のあいだではよく知られた存在らしい。
サラ・コナー・クロニクルズのなかで唯一なごめるっていうか、心が洗われるのが、キャサリン・ウィーバーの幼い娘と救急救命士のチャーリー・ディクソンだとおもいます。
「スカイ島からやってきた 恥ずかしがり屋のドナルド
歩けば娘が振りかえる キルトをはいた少年
舞踏会に行った日も キルトで踊るドナルド
フロアをゆっくり悠然と キルトをはいて行く
みんなが慕うドナルドは 誰の声にも振り向かず
誇り高く胸はって ただキルトをはいて行く
胸躍らせロンドンへ ひとり出かけたドナルド
街ゆくレディが振りかえる キルトをはいた少年」
ここまで目を通してもらい、ありがとう。嬉しいにゃあ。