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守破離::1Q59

幸福とはココロの状態にある

心のままに

こんにちわ。

わたしの視界から俳優リチャード・ギアの姿が消えてわりと年月がたつ。米国では活躍されてるのだろうが、日本まで公開作品がながれてこないのかもしれない。一時期、けっこう彼の映画は鑑賞していたから寂しい。

双極性障害躁鬱病)をテーマにした映画「心のままに」。

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ミスター・ジョーンズはありついた大工仕事の現場で奇行に走る。幸いにして難はのがれたものの気持ちは高揚したまま。持ちまえのプレーボーイ気質でつぎつぎ女に声をかけ、大金をおろして派手につかいまくる。

出会ったばかりの銀行窓口の女性はジョーンズにひとめぼれ。彼女をともないクラシック演奏会にはいる。指揮者の指揮が気に入らず、壇上にあがり自分が指揮をとりはじめる。

精神病院に収容され、主治医となる女性医師との人間模様が繰り広げられる。

患者と関係をもつのは医師として病院としてタブーなのは女性医師は十分、心得ている。しかし、カウンセリングをほどこすうちにミスター・ジョーンズの言動と物腰と笑顔に魅了されていく。通常のありふれた患者とはどこかしらことなっており、かれには音楽の才能が秘められピアノがとても上手だった。

病院に閉じ込められるは苦痛でしょうがない。自由を束縛されてしだいに意気消沈。鬱の症状があらわれる。

こんなふうに筋を書くと暗そうなストーリーに思えそうですが、決してどんよりした感じではありません。

心の病を扱った映画はこれまでに少ないながら観てきました。けれども、あまり真剣に鑑賞できなかったというか、ピンとこなかった。自分とは遠いできごとで自分とは無関係だと安全圏からながめていたからです。それに年齢がまだ若かったということ。作中の人物に感情移入するけど実感は薄かった。

わたしには齢の離れた腹違いの姉がいたんですが、一緒に育ったのは6歳ぐらいまで。小学1年のときに見合い結婚して家を出ていきました。姉の長男は二十歳のときに自死。あとを追うように姉まで自死

ちゃんと姉と話をしたのは死の直前、公立精神病の入院病棟にお見舞いにいったとき。約1時間ほどでした。姉が言うには結婚相手をまちがったとしきりに悔やんでました。

姉はいわゆる秀才で県内でも十指にはいるほどの成績。勉強するのが好きだったといいます。

甥の葬儀のときも姉の葬儀のときも、それほど死というものの実感はわかなかった。心の病のつらさというのが自分のこととしてとらえることはできなかった。関連する本を買い求めてわりと読んでみたりしたが無駄。当時の本は本棚に収められてる。

たまたま一緒に仕事をともにした姉ぐらいの年齢のおばさんがいました。都市銀行と大手証券会社に在籍した方でした。器の大きなかたで岩下志麻さんみたいな女優にあこがれると語っていました。法学部にはいった長男は二十歳にて自死

なんで死んだのか苦悩してどうしても理解したくて通信制の大学で心理学の講座をとったそうです。ほとんどのひとは親しくならない限り、マイナス面をみせません。信頼関係が保てたとしても言えないこともある。身近なひとを不慮に失うのは決してレアケースではないんだと考えさせられた。

残された者は忘れることができず心に傷を負う。

映画の話に戻ります。

子供のときは誰しも無邪気で天真爛漫。なにをするにしても目一杯ふるまう。いつでもどこでも躁状態。心はつねに解放されている。大人になればそうはいかなくて、建前の演技を求められる。父なり母なり新入社員なり社長なり患者なり医師なり・・・時と場により様々。

心のままに。ありのままに。生きることは許されない。

社会的な立場を守ろうとする女性医師エリザベス。
日本の精神科医は薬を処方するだけでカウンセリングはあまり積極的ではないとおもいます。担当する患者の数が多すぎて患者の話に耳をかたむける余裕はありません。もっとも自分が医師の立場だとしたら、毎日毎日、つらい話を傾聴するなんて耐えられない。だから投薬治療に終始。良心的な医師であれば、きちんと予約診療して患者の数を制限するんじゃなかろうか。とはいっても患者さんは予約日にちゃんと外来できるとは保証しずらいのが心の病の特徴。頻繁に予約日時を変えられるは困るだろうしね。

ついに医師と患者の一線をこえてしまう。

葛藤するエリザベスですが、感情分析の専門家なのに自分の感情をこらえきれない。好きになったものはしょうがない。冷静に仕事として病院内のビジネスライクな関係で処理不能。損得勘定の付き合いからラブロマンスに発展。

最初はミスター・ジョーンズ主体にドラマは進行しますが、ラストになるにしたがいエリザベスに主体が移っていきます。

親密な関係を結ぶというのは打算ではなくて抜き差しならない呉越同舟。共倒れをいとわない関係なんですね。先々の結果を想定したりしない。瞬間瞬間が大切。身につまされる。家族や生きることに対する本来のありかたです。めんどうで大変ことをあえて引き受ける。

幸福になるために結ばれるわけではない。