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ミニマリスト

猫のつぶやき :: 生きてるだけで尊くありがたい

光の魔術

創作

赤と緑。

「点滅して部屋のアクセントにいいね」

夜が長くなってくるとひっぱりだして居間を演出。
蛍光灯だと光量がありすぎて落ち着かないんだ。
細かい作業のときは別だけど、間接照明は重宝する。

「だから色んな行灯がおいてあるんだ」
「あたしの部屋とは大違い」
「備え付けの照明なので味もそっけもない」

「このスイッチ。手でひっぱるタイプ」
「カチって音がして安心」
「ぶらぶら、ヒモがぶらさがってるのが嬉しい」

「紙製の傘で色はオレンジ」
「ボディーは木なので照明器具というより家具っぽい」
無印良品のやつは傘がアルミでボディーはプラスティックの
ケルトン」「これはこれでユニーク」

「あんたはMUJIがすきだよね」

うん。まあ。

西友系列の商品は他にはない存在感。

南青山の一号店に入ったことあってさ。
ここで無印はスタートしたのかと感無量になったのをおぼえてる。
当時はハビタとかいうプライベートブランドの食器とかあったり、
もっとも西友・西武が輝いていた時期だった。

MUJIのお菓子あるよ。袋菓子だけど。
もってくるから待ってて。
ついで菊の花のお茶を淹れようか。これもMUJI

トクトク。
「まあまあかな。可もなく不可もなく」
「あれれ。MUJIの書籍まで購入してたの〜」

MUJIの家まで注文すればパーフェクト。
なんてのはウソ。
でも。モデル住宅だってシンプルでMUJIらしいが、お金に余裕が
あってサカンドハウスみたいな用途ならばよさそう。
なにもかもMUJIにお世話してもらうつもりはないが
ロングな付き合いなので気心は知れてる。

え〜とそれで。

こどものころに友人の部屋にじゃましたら工事現場においてある
点滅ランプをみつけてさ。
大きくて重たい業務用の乾電池が内蔵。
そいつは、ちょっともらってきたといいわけして、おまえも頂いてこいよ
とかって共犯をすすめられ、自分もだまって失敬してきた。

部屋を暗くして工事現場のランプを見入ってたら
気持ちがやすらぐというか、別世界にいるようで朝まで
つけっぱしにしてたっけなあ。

点いたり消えたりすれば部屋中がおなじ色にブリンク。
ささやかな電飾に囲まれるとさ。
心臓の鼓動と同期してまるでホタルの気分。
人工物なのに生き物のような気がしてくる。

布団にもぐってから夢があらわれやすくなる。

「ほんとなの」
「あたしね。夢みること全然なくて」
「イルミネーションが夢を誘導してくれるなんて初耳」

ローソクでもいいよ。ローソクだとさらによい。
ふわふわした炎。
試してみようか。どうする。

悪夢でも大丈夫のようにドリームキャッチャーがある。
おもちゃでなくて知り合いのインディアンの手作り。
ベッドルームに設置してクモの巣みたいに悪夢をひっかける。

クリスマスがせまってることだし、君もツリーというか
それっぽい雰囲気のランプか年中使えるやつとかさがしてみれば。
なんならプレゼントしようか。

「小さめのでいいから欲しいかも」
「部屋が狭いので置き場所にこまらないぐらいのサイズ」
「それより、夜長。なにする」
「みんなはテレビに釘付けなのかしら」

君は、ほとんどテレビに興味ない。
新聞さえ非購読。世事にうとい。

「あんただって同じ穴のムジナ」
「マスメディアに接してなんになる」
「はるか宇宙の彼方を望遠鏡でのぞいてる感じ」

わかるわかる。
なんにもならなくともさ。
見れば見るほど見たくなる。
見なければ見ないほど見たくなくなる。
クセにすぎない。習慣。

夜に眠い目をこすって望遠鏡で星をながめるほうが
まだましというか。高尚ってわけじゃないが、
星の光がここまで到達するのは時間をようする。
はっせられた光は過去だから、われわれは過去を凝視。

考えてみればとても変。光の魔術。

プラネタリウムに行ってみない」
「イスを倒して天井を見上げて」
「すこしずつ昼から夜の闇へ」
「星は点。それぞれ近隣の点を糸で結んで星座に」

「ナレーション担当者の声」
「やさしい夢心地のボイス」

真似してみせて。
天文台で働いてる方の意識は遠くに向いている。
ごちゃごちゃした世間は通過して素通り。
宇宙の果てから届いてくる微粒子みたい。

「オーストラリアの夜空は満天の星空」
「降ってくるみたいでね」
南十字星を見上げたときは感動」
「なんてふうにナレーターは話してた」

サザンクロス。
南半球だと空気も澄んでるし、こっちの星空とは異質。
でぶっちょのバオバブの樹木の下にテント張って
思う存分、まぶたに焼き付けたい。

あちらの大地は鉄分豊富なのか赤茶けた色。
住んでる動植物だって変わり者だらけでしょう。
ちょっとの旅行でも身体組成に変化がおきてさあ。
君なんか。
ピョンピョン飛び跳ねちゃって居着いてしまうぜ。

「擬似的に宇宙を垣間見れるプラネタリウム
「装置を発案したひとはロマンチストだったのね」
「いつでも夜空を再現できる」
「時間がたおやかに経過する天文台
「星が恋しいひとたちの楽園」

ジュピター二号ってなまえのくるくる回転する宇宙船。
乗組員は5人家族でほかには少佐と医者とロボット。
地球にもどれなくて宇宙をさまよう。

ウィルという少年が天体望遠鏡で星を観察してると
バーンと煙があがって、どこからともなく宇宙人が登場。
ドタバタ騒動がもちあがるわけ。
蛇腹状の腕を上下させて「警告警告」と手が丸いカギの
ロボットが注意喚起するんだよ。

会話できるロボットと暮らせたらどんなにいいだろう。
なんてさあ。永遠の憧れだったのが。
実現はまじかですぐそこらまで迫ってきてる。

大宇宙を舞台にしたお伽話「宇宙家族ロビンソン」。

アーウィン・アレンというひとの犯行。
そっち系のプロデューサーでかれの原点といえる作品。
おそらくスティーブン・スピルバーグが影響をうけたであろう
映画界のカリスマなんだとおもう。

ジョージ・ルーカススターウォーズ
おちゃらけた翻訳ロボットC3POと生真面目な機械操作ロボットR2D2
ふたつが軽妙でなくてはならない位置をしめていたでしょう。
わざわざ2種類に分割したのが幸い。
あれがもし1体だとしたら魅力半減。
シリーズ化されて大成功を収めたのはロボットによるところ大。

地平線が見渡せるだだっぴろい土地にうまれると
想像力までビローンと拡張する。

突然。なんか歌が響いてきた。

小説「ノルウェイの森」。
ビートルズの曲からタイトルとったミリオンセラー。
本のカバーはそれぞれ赤と緑で人目をひいたよね。
二冊組み。覚えてる!?。

あの表紙を提案したのは著者の村上春樹さん。
混じりけなしのストレートが功を奏した。

心を病んだ恋人が大学から山奥の施設に転居。
主人公はあとを追いかける。
日常から隔離されたところで繰り広げられる体験。
東南アジアの監督により映画化された。

小説のラストで主人公と年上の女友達がセックス。

あそこのシーンを読んだときにさ。
涙がとめどなく流れて文字をおえなかった。
すっかり物語に没頭して登場人物に感情移入。
無事に生きて施設から解放された喜びと
これから先への期待と不安が錯綜したふたり。

映画では見事にカットされてがっかり。
小説と映画はべつものなので仕方ないのはわかるが、
どうにもこうにもしっくりこなくて欲求不満が残った。

魂の浄化作用と表現するのはおおげさかもしれない。
けれども。
いまだに色あせないというか。

「ふ〜ん」
「猫ちゃんらしい」
「死とセックスと生は隣りあってるもんね」
「一回かぎりの交わりなのに一生を左右した」
「その女のひとは特殊能力の持ち主」

 

ノルウェイの森〈上〉 (講談社文庫)

ノルウェイの森〈上〉 (講談社文庫)