守破離::1Q59

幸福とはココロの状態にある

慣れない天国より慣れた地獄

ずぼらな性格なのでいちいちカードをかざして仕事場に入室するなんてストレスになる。首から写真付きカードをぶらさげるのだって苦手。ワンコの首輪でもあるまい。とにかく管理されるだけで気が滅入る。気にせずに就業できるひとがうらやましい。新入社員のときからやらされればどうってことなくてあたりまえになるのだろうか。それとも仕方ないとわりきってしまえば苦にならないのか。わたしのような性格だと管理社会では生きにくい。

一番セキュリティーが厳しかった企業。

毎朝、1〜7を繰り返さなければいけない。

1. 敷地入り口に立つガードマンに入館証を見せる
2. 玄関でICカードをかざして建物に入る
3. つぎの入り口で再度、ICカードをかざして内部に入る
4. ロッカーの鍵を開けて靴をはきかえる
5. 机の鍵を開ける
6. パソコンのカードリーダーにICカードを通す
7. パソコン画面でIDとパスワードを入力

8. コンピューター室に入るときはICカードをかざす
9. 書棚から書類を出し入れのさいは鍵を開ける
10. 席を離れるときはノートパソコンの電源を落とす
11. 席を離れるときはどこにいるのかメモを机の上におく
12. 席を離れるときは机の鍵をかける
13. 夜間、外に出て再度入館する際は、毎月変わるパスワードを手入力しないと門は開閉しない

とにかくめんどうで怠け者のわたしは神経衰弱になってしまう。一度、ロッカーの鍵をかけないで退出したら、チェックされていて怒られました。なんとまあ、いちいちロッカーの鍵をチェックしてるのです。驚きました。中学校の風紀係みたいです。

前の人の後に続いてカードをかざさず退出したら、自動チェックされていて、後日、かならずカードを通すように指導された。敷地の前がバス停になっており、バス停の並び方は悪いとこれまた指導をうけた。

閉じられた空間なので火事になったら焼け死んでしまいます。とにかく息がつまる。バカ正直。なにもかも減点主義。

肝心の仕事といえば、真空管のサビをブラシでおとすような前近代的な作業。時間が止まってるような仕事。長く留まれば、精神に支障をきたすに決まってる。慣れない天国より慣れた地獄といいますが、慣れてしまえば平気なのかもしれません。長年、どっぷり同じ環境にひたっていると快感まではいかなくとも決まりきったことをひたすらやりつづけるのが習い性になる。

自宅から片道90分前後かけて通った。交通費だけで月4万円以上。もちろん交通費は実費支給。

唯一の楽しみは食堂での給食。

プリペイドカードで精算する仕組み。眺望がよくて気の合うひとりの方といつも食事をともにした。中のひとを観察してみると年代にかかわらず昼休みだというのに黙りこくってうつうつとしてるひとばかり。わきあいあいとした雰囲気はみられない。やってる仕事はまったく創造性もなく、ただの事務作業というかパソコンインプットみたいなものだから仕方ないとはいえ、その企業の体質なんだろう。

生花すら飾っておらず。気持ちの余裕はみられない。

節電のために廊下の明かりは暗い。昼間なのに幽霊があらわれそう。いまだ刑務所に入った経験はないけど、ムショ内部の雰囲気を経験させてもらった。

地元では名門の老舗で利益は高い。給料は最上級。でも、中にはいればとんでもないのが実態。でもまあ、わたしが仕事した部署だけの現象かもしれないが・・・。